AI生成の物件動画は「優良誤認」にあたるのか
結論
AI生成の物件動画であること自体は、優良誤認表示(景品表示法5条1号)にあたりません。 判断基準になるのは「AIを使ったかどうか」ではなく「表示されている内容が事実と一致しているかどうか」だからです。ただし、AI生成であることを明示すべき場面で明示しなかったり、物件資料にない情報をAIが作り出して映像・テロップに乗せてしまったりすると、優良誤認表示や宅地建物取引業法32条の誇大広告に該当するおそれがあります。「AI生成=NG」でも「AI生成=何をしても自由」でもなく、判断軸は昔からある「CG・完成予想図」の考え方の延長線上にある、というのが本記事の要点です。
なお、AI生成動画そのものを対象にした裁判例や消費者庁の措置命令事例は、2026年7月時点で公表情報の範囲では確認できていません。以下は、写真・CG・完成予想図に関する既存の規制・実務からの類推による整理であり、法的助言ではありません(詳細は末尾の免責事項をご確認ください)。
そもそも優良誤認表示とは
景品表示法5条1号は、事業者が供給する商品・サービスの品質・規格その他の内容について、次のいずれかにあたる表示を禁止しています。
- 実際のものよりも著しく優良であると示す表示
- 事実に相違して、競争関係にある事業者のものよりも著しく優良であると示す表示
いずれも「不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的・合理的な選択を阻害するおそれがある」ことが要件です(消費者庁「優良誤認とは」)。ポイントは、条文が問題にしているのは**表示の「手段」ではなく「内容」**という点です。実写写真でも過度な補正で実際より広く見せれば優良誤認になり得ますし、生成過程がAIでも、内容が事実に即していれば直ちに違反にはなりません。
宅地建物取引業法32条も同様の構造で、「著しく事実に相違する表示」「実際より著しく優良・有利であると誤認させる表示」を禁止しています。こちらも規制対象は表示の中身であり、制作手法(手作業かAIか)を条文上の要件にはしていません。
なぜ「AI生成」というだけでは優良誤認にならないのか―CG・完成予想図の先例
不動産広告の世界には、AI以前から「実際の写真ではない映像表現」をどう扱うかというルールが存在します。それが不動産の表示に関する公正競争規約における、CG・完成予想図の扱いです。
- 表示規約23条1項42号: モデル・ルーム、写真、動画、コンピュータグラフィックス、見取図、完成図、完成予想図による表示で、「物件の規模、形状、構造等について、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」を禁止
- 施行規則9条23号: 「宅地又は建物のコンピュータグラフィックス、見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは現状に反する表示をしないこと」 (公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不当表示の禁止」)
この2つの条文が示しているのは、「CGや完成予想図そのものは禁止されていない。ただし①それとわかるように明示すること、②内容が現状・事実と相違しないこと、の2条件を満たす必要がある」という考え方です。AI生成動画は技術的には新しいものですが、法律・規約が問題にしている構造(実写ではない表現手法をどう扱うか)は同じです。AI生成動画にもこの「明示+事実整合性」の考え方を当てはめて運用するのが、現時点で最も実務に即した理解だと私たちは考えています。
一方で、優良誤認・誇大広告にあたりうるケース
「AI生成だから安全」でも「AI生成だから危険」でもなく、次のようなケースは具体的に注意が必要です。
1. 実在しない設備・家具を標準装備であるかのように見せる バーチャルステージング(AIによる家具の仮想配置)で、実際には搬入できない家具や、物件に存在しない設備をあたかも備え付きであるかのように見せる表現です。2022年10月、業界ニュースサイトの報道によれば、首都圏不動産公正取引協議会は搬入不可能な家具を用いたバーチャルステージングは「優良誤認を誘う不当表示」に該当し得ると注意喚起した、とされています(R.E.port「バーチャルホームステージングの利用に注意」)。
2. マイソクにない情報をAIが「創作」してしまう 台本・テロップの自動生成では、AIが物件資料にない「初期費用ゼロ」「即決お得」のような文言を作り出してしまうことがあります。これは映像がAI生成かどうかとは別の問題で、テロップという「表示」自体が事実に相違する、というシンプルな有利誤認表示・誇大広告のパターンです。
3. 完成予想図的な扱いなのに「AI生成」「イメージ」の明示がない 実在しない完成状態や、実際とは異なる季節・時間帯・演出を加えた映像を、実写であるかのように見せてしまうケースです。施行規則9条23号の考え方に沿えば、そうした表現には「AI生成」「イメージ」等の明示が必要になり得ます。
4. カメラワーク・演出による誤認 過度な広角表現やカメラワークで、実際の広さ・形状を誤認させる演出も、宅建業法32条が規制する「規模・形質」の誤認表示に触れるおそれがあります。
「イメージです」と書けば免責されるのか
ここが、AI動画を扱ううえで最も誤解されやすいポイントです。答えは「注記があるだけでは免責されない」です。首都圏不動産公正取引協議会は、「イメージフォトです」「実際のものとは多少異なる場合があります」等の注記をつけても、内容そのものが事実と著しく異なれば不当表示であることは避けられない、と明言しています(同上「不当表示の禁止」)。
つまり、注記は「事実に近い表現に対する補足」としては機能しますが、「事実と大きく異なる表現に対する免罪符」にはなりません。AI生成動画で安全側に倒すなら、注記の有無以前に、表示している内容そのものを物件資料の事実に近づけることが最優先になります。
私たちByakuyaAIの取り組み(一事例として)
ここまでの整理を踏まえ、私たちが自社の動画生成プロセスで採用している取り組みを一例としてご紹介します(他社サービスの適法性を評価するものではありません)。
- テロップ・ナレーションは、物件資料(マイソク等)で確認できる事実のみを使うルールを生成プロセスに組み込む
- バーチャルステージングなど実写でない演出を使う場合は、既定でオフにしたうえで、使う場合は「イメージです」等の注記を入れる
- 生成された動画は、投稿前に必ず人が内容を確認する承認フローを通す(仕組みの全体像は景品表示法・宅建業法 完全ガイドで解説)
まとめ
- AI生成の物件動画は、それ自体では優良誤認表示にあたりません。判断基準は生成手法ではなく表示内容の事実整合性です
- CG・完成予想図に関する既存の規約(表示規約23条1項42号・施行規則9条23号)が、AI生成動画を考えるうえでも有効な参照枠になります
- 「明示すれば何をしてもよい」わけではなく、内容そのものが事実と著しく異なれば注記があっても不当表示になり得ます
- 実務対応の基本は、①物件資料にない情報を作らせない、②実写でない演出は明示する、③投稿前に人が確認する、の3点です
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の広告表現・掲載可否については、弁護士・宅地建物取引士・不動産保証協会など専門家にご確認ください。
運営者情報: 本記事は、不動産SNS動画の自動生成サービスを提供するByakuyaAIが執筆しています。
最終更新日: 2026年7月15日
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