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不動産SNS広告の景品表示法・宅建業法 完全ガイド―リスクの全体像と社内承認体制の作り方

結論から言うと、不動産会社がSNS広告で気をつけるべき法令・規約は、性格の異なる3つに整理できます。①景品表示法(全業種共通の消費者保護法。優良誤認表示・有利誤認表示を禁止)、②宅地建物取引業法32条(宅建業者専用。誇大広告等を禁止)、③不動産の表示に関する公正競争規約(業界の自主ルール。おとり広告やCG・完成予想図の表示基準を規定)です。SNS動画で特に事故が起きやすいのは「物件資料にない情報を作ってしまう」ケースと「成約済み物件を出し続けてしまう」ケースの2つで、対策の基本は「事実だけを書く」「投稿前に人が確認する」に集約されます。

本記事は一般的な情報整理を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の広告表現の適法性については、記事末尾の免責事項と専門家への確認をお願いします。


不動産広告に関わる法律の全体地図

景品表示法とは―優良誤認表示・有利誤認表示

正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。業種を問わず、消費者向けの広告表示全般を規制する法律です。SNS動画・投稿文にも当然適用されます。

消費者庁は、規制対象となる不当表示を大きく2種類に整理しています。

  • 優良誤認表示(景品表示法5条1号): 商品・サービスの品質・規格などの内容について、実際よりも著しく優良であると示す表示、または競争事業者のものより著しく優良であると示す表示(消費者庁「優良誤認とは」)
  • 有利誤認表示(景品表示法5条2号): 価格その他の取引条件について、実際よりも著しく有利であると誤認させる表示(消費者庁「有利誤認とは」)

不動産広告に置き換えると、優良誤認表示は「実際にはない設備を映す・誇張した演出で広さや構造を誤認させる」、有利誤認表示は「実際とは異なる家賃・初期費用を表示する」がそれぞれ典型パターンです。

違反時は、表示の取りやめ等を命じる措置命令、売上額のおおむね3%を基準とした課徴金納付命令の対象になります。2024年10月施行の改正では、悪質なケースに命令なしで罰金を科す直罰規定(100万円以下の罰金)も導入されました。措置命令違反は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金です(消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」)。

宅地建物取引業法32条(誇大広告等の禁止)

宅建業者だけに課される専用の規制です。条文はこう定めています。

宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。 (宅地建物取引業法第32条・全国宅地建物取引業協会連合会 参照条文PDF)

規制対象は「所在・規模・形質・利用制限・環境・交通の利便・価格や賃料」と、景品表示法より不動産取引に即して具体的です。「おとり広告」「虚偽広告」もこの条文の適用範囲に含まれます。違反時は指示処分・業務停止処分・免許取消処分(監督処分)の対象になるほか、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。

不動産の表示に関する公正競争規約

景品表示法に基づき、不動産業界が自主的に定めたルールです。不動産公正取引協議会連合会が運用しています(公正競争規約の紹介)。SNS投稿の実務でとくに関係が深いのは次の2点です。

  • おとり広告の禁止: (1)存在しない物件、(2)存在するが取引対象になり得ない物件、(3)存在するが取引する意思のない物件、に関する表示をいずれも禁止しています。成約済み・募集終了の物件を掲載し続ける行為はこの類型に該当し得ます(不動産公正取引協議会連合会「おとり広告ガイドライン」消費者庁「不動産のおとり広告に関する表示」)。
  • CG・完成予想図・動画の表示基準: 表示規約23条1項42号は「モデル・ルーム又は写真、動画、コンピュータグラフィックス、見取図、完成図若しくは完成予想図による表示であって、物件の規模、形状、構造等について、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」を禁止。施行規則9条23号は「宅地又は建物のコンピュータグラフィックス、見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い…現状に反する表示をしないこと」と定めています(公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「不当表示の禁止」)。この基準はAI生成映像の扱いを考えるうえでも重要な手がかりで、詳しくはAI生成動画と優良誤認の記事で掘り下げています。

3つの法令・規約の違い(比較表)

景品表示法 宅建業法32条 不動産の表示に関する公正競争規約
性格 全業種共通の行政法規 宅建業者専用の業法 業界の自主規制ルール
規制の核心 優良誤認・有利誤認表示の禁止 誇大広告等(事実相違・優良/有利誤認)の禁止 おとり広告の禁止、CG等の表示基準
主な措置・罰則 措置命令・課徴金納付命令・直罰規定(詳細は上記) 監督処分(指示・業務停止・免許取消)、罰金 協議会による指導等
所管 消費者庁 国土交通省・都道府県 不動産公正取引協議会連合会

SNS投稿で特に起きやすい違反パターン

実際に相談を受けた事例を、個別の会社名・物件が特定できない形に一般化してご紹介します。

1. AIやテロップが物件資料にない情報を「作ってしまう」 台本やテロップの自動生成では、「初期費用ゼロ」「即入居でお得」のような、マイソクにない断定的な文言が紛れ込むことがあります。有利誤認表示・宅建業法32条の双方に触れるおそれがある、もっとも起きやすい事故パターンです。対策は「テロップ・ナレーションは物件資料の事実のみを使う」ルールを、人のチェックだけでなく生成プロセス自体に組み込むことです。

2. バーチャルステージング(家具のCG合成)による誤認 2022年10月、業界ニュースサイトの報道によれば、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会はバーチャルホームステージングについて「仮想設置する家具は実際に搬入できることが大前提」であり、玄関・廊下・エレベーターの寸法上搬入できない家具の表示は「優良誤認を誘う不当表示」に該当し得ると注意喚起した、とされています(R.E.port「バーチャルホームステージングの利用に注意」)。使う場合は「CGによる合成画像です」等の注記に加え、搬入可能性まで確認するのが安全です。

3. 成約済み物件の投稿放置(おとり広告化) SNSは一度投稿すると流れていく性質上、「成約したのに投稿を消し忘れる」ことが起きがちです。前述のとおり、これは不動産公正競争規約のおとり広告規制に触れるおそれがあります。成約情報の連携を仕組み化し、成約フラグが立ったら該当投稿を速やかに取り下げる運用を持つことが対策になります。


社内承認フローの作り方

法令違反の多くは「悪意」ではなく「誰も投稿前に事実確認をしていなかった」という運用の穴から生まれます。人が最終確認する仕組み(承認フロー)を持つことが、最も費用対効果の高いリスク対策です。

ステップ1: 投稿前チェック観点表を作る(下表)

# チェック項目 確認の視点
1 マイソク・重要事項との整合性 テロップ・ナレーション・キャプションが物件資料の事実と一致しているか
2 設備・家具の実在性 映っている設備・家具は実在するか。バーチャルステージングの場合はイメージ注記があるか
3 価格・初期費用の表記 賃料・管理費・初期費用等が実際の条件と一致しているか
4 CG・AI生成である旨の明示 実写でない演出・生成物を明示すべき箇所に明示があるか
5 成約状況 物件が成約済み・募集終了になっていないか
6 誇張表現 「絶対」「日本一」等、根拠のない最上級表現がないか
7 承認記録 誰が・いつ・何を承認したかの記録が残っているか

ステップ2: 承認者を明確にする ― 投稿前チェックは「誰かがやるだろう」では機能しません。物件情報を一番よく知る担当者や管理職を最終承認者とし、承認なしに投稿されないルールにするのが出発点です。

ステップ3: 成約フラグと投稿削除をセットで運用する ― 成約報告と投稿の取り下げが別々の担当者・タイミングで動くと抜け漏れが起きやすいため、同じ連絡経路(成約報告=取り下げの合図)に統一するのがおすすめです。

ステップ4: 修正・差し戻しの手順を決めておく ― 問題が見つかった場合に誰が・どの期間で直すかを事前に決めておくと、承認フローが「止まる工程」でなく「安全に回る工程」になります。外注先を使う場合は、修正対応の速さ・回数条件も選定基準に含めましょう(選び方は外注先の選び方チェックリストを参考にしてください)。


各論をさらに詳しく知りたい方へ

本記事はコンプライアンスクラスターの柱記事として、全体像を整理しました。個別のテーマは以下でさらに詳しく解説しています。


まとめ

不動産SNS広告のリスクは、法令を1つずつ暗記することよりも「事実だけを書く」「投稿前に人が確認する」という2つの原則を仕組みに落とし込めているかで決まります。景品表示法・宅建業法32条・公正競争規約はそれぞれ性格が異なりますが、求めている中身はおおむね共通しています。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の広告表現・掲載可否については、弁護士・宅地建物取引士・不動産保証協会など専門家にご確認ください。

運営者情報: 本記事は、不動産SNS動画の自動生成サービスを提供するByakuyaAIが執筆しています。台本生成の主張ガードレール(事実ベースの表現)と投稿前承認フローを標準搭載した自社サービスの運用知見をもとに構成しています。

最終更新日: 2026年7月15日

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