「投稿の仕方を教えます」型コンサルで不動産会社の集客が伸びない理由

また今日も、投稿のネタが浮かばないまま画面を閉じた。半年前にSNSコンサルタントと契約したときは、「これでようやく毎日投稿が回るようになる」と思っていたはずだった。届いたのは「こういう投稿をするといいですよ」というアドバイスだけ。動画を撮り、テロップを入れ、投稿ボタンを押すのは、結局いつも自分自身だった。請求書だけは、毎月きちんと届く。
結論: 悪いのはあなたの実行力ではなく「教育型」というサービス構造
先に言っておきます。それはあなたの実行力が足りないからではありません。SNSコンサルに費用を払って契約したのに集客が伸びない——この問題の多くは、担当者の能力不足ではなく「教育型」というサービスの構造そのものに原因があります。教育型は「こう投稿するといいですよ」とアドバイスを提供するサービスで、実際に投稿を作って運用するのは発注者側です。忙しい不動産会社の現場では、アドバイスを受け取っても実行に移す時間が確保できず、結果的に「聞いただけで終わる」ことが少なくありません。
本記事では、私たちが実際に不動産会社を回ってヒアリングした内容をもとに、教育型と運用代行型の違い、そしてなぜ教育型が市場に多いのかという構造的な理由を解説します。特定の事業者を批判する意図はなく、あくまで「サービス形態のミスマッチ」という観点からの整理です。
私たちが現場で聞いた、ある社長の言葉
私たちは神奈川県内の不動産会社を、飛び込みも含めて何十社と回ってきました。その中で、ある不動産会社の社長から聞いた話が、教育型のミスマッチを何よりも雄弁に物語っています。
ちょうどSNSを始めようと思っていたタイミングで、知り合いの紹介でSNSに詳しい方に会った。ところが実際に依頼してみると、「こういう投稿をするといいですよ」というアドバイスをくれるだけで、結局は自分たちで投稿を作って運用しなければならなかった。求めていたのは、実際に動画を作って投稿までやってくれることだった。
この社長は、SNS運用にかける時間的な余裕がないことを最初から明確に自覚していました。にもかかわらず提供されたのはノウハウの伝授であり、実行部分は発注者側に残る形式だったため、「結局自分でやらなきゃいけない」というギャップが生まれたのです。他の不動産会社を訪ねたときにも、似た温度感の話を何度も聞きました。これは一部の運の悪い会社だけに起きている話ではありません。
「教育型」と「運用代行型」の違い
| 教育型 | 運用代行型 | |
|---|---|---|
| 提供内容 | 投稿の作り方・時間帯・ハッシュタグなどのアドバイス | 実際の動画制作・投稿作業そのもの |
| 発注者がやること | 教わった内容をもとに自分で投稿を作成・実行 | 物件情報を渡すだけ(運用は代行側が実施) |
| 向いている会社 | すでに専任のSNS担当者がいて、戦略設計だけを外部に求めたい会社 | 人手が足りず、撮影〜投稿まで丸ごと任せたい会社(多くの中小不動産会社) |
| よくある失敗パターン | 教わった直後は実行するが、日々の業務に追われて徐々に更新が止まる | (発生しにくい。ただし発注側のチェック体制がないと投稿内容が的外れになりやすい) |
なぜ「教育型」が市場に多いのか
ここで少し意地悪な言い方をすると、教育型のサービスが多いのは、コンサル側にとってそのほうが都合がいいからです。1人のコンサルタントが同時に多くの顧客を担当するには、実作業を発注者に委ねる教育型のほうが効率的です。動画制作や投稿作業を代行側が全て担うと、その分の工数がそのまま人件費として単価に跳ね返るため、教育型はこの制作コストを発注者側に転嫁できる分、価格を抑えやすい構造になっています。さらに「自分で運用してこそ伸びる」という業界通説も根強く、教育型を選ぶ動機のひとつになっています。
「自分で運用してこそ伸びる」論の落とし穴
この通説自体が間違っているわけではありません。ただし、その前提には「継続して運用できるリソースがある」ことが必要です。実際、SNS集客がうまくいかない要因として、日々の業務に追われて更新の優先順位が下がり、アカウントが放置されてしまうという継続性の問題が、複数の業界メディアでも指摘されています。積み上げたフォロワーとの接点が更新停止とともに途切れてしまうケースは珍しくありません(不動産DX関連メディアの解説より、2026年7月時点)。
中小の不動産会社の多くは、撮影・編集・投稿という一連の作業に割ける専任担当者を置いていません。この状態で教育型サービスを選ぶと、「良いノウハウは手に入ったが、実行するリソースがない」というミスマッチが起きやすくなります。あなたが不真面目だったわけでも、覚悟が足りなかったわけでもありません。
教育型が向いているケース・運用代行型が向いているケース
教育型を一律に否定するものではありません。判断の軸は「実行するリソースが社内にあるかどうか」、それだけです。
- 教育型が向いている: すでに撮影・編集ができる担当者がいて、投稿の方向性や戦略設計だけを外部の知見に頼りたい会社
- 運用代行型が向いている: 撮影・編集・投稿のいずれか、あるいは全部を任せる人手がなく、物件情報を渡すだけで済ませたい会社(中小の不動産会社の多くはこちらに該当します)
自社がどちらに当てはまるかを契約前に整理しておくことで、「教育を受けたのに結局回らなかった」という失敗を避けやすくなります。
私たちが運用代行として実際にやっていること
私たちがAIで動画を自動生成するときも、この運用代行型にあたります。物件情報とマイソクを受け取ったら、撮影・編集・テロップ入れ・投稿までを実際に手を動かして進めるのは私たち側です。発注者側の作業は、月初に物件情報を渡すことだけで完結します。「アドバイスをもらって終わり」ではなく、「アカウントに動画が増えていく」ところまでを見届けるのが、私たちの仕事だと考えています。
外注先を選ぶ前に確認すべきこと
教育型か運用代行型かを見分けるには、契約前に「誰が実際に手を動かすのか」を具体的に確認することが重要です。実績・費用・法令順守体制・事業継続性まで含めたチェック項目は外注先の選び方チェックリストにまとめています。また、外注・内製・AI自動化という選択肢全体の比較は外注・内製・AI自動化の比較記事を参照してください。
よくある質問
コンサルに料金を払って契約したのに成果が出ませんでした。なぜですか?
多くの場合、サービスが「教育型」で、実行(投稿の制作・運用)が発注者側に残る形式だったことが原因です。コンサルタントの能力不足というより、サービス形態と自社のリソースが噛み合っていなかった可能性があります。
教育型と運用代行型、どちらを選ぶべきですか?
社内に撮影・編集・投稿を継続できる担当者がいるかどうかで判断します。いなければ運用代行型、いれば教育型でも機能する可能性があります。
「運用代行」を謳っていても、実質は教育型に近いところがあると聞きました。見分け方はありますか?
「投稿の最終的な制作物(動画・テロップ)を誰が作るのか」「発注者側の作業は物件情報を渡すだけで完結するか」を契約前に具体的に確認してください。ここが曖昧なまま契約すると、後から作業負担が発注者側に戻ってくることがあります。
自社でSNS担当者を採用すべきですか、それとも外注すべきですか?
採用と外注の比較は動画制作という切り口では動画制作4つの選択肢の比較記事で詳しく整理しています。人件費・継続リスク・品質の安定度を天秤にかけて判断することをおすすめします。
本記事は特定の事業者を対象とした批判ではなく、SNS支援サービスの提供形態(教育型/運用代行型)というサービス構造の違いを整理したものです。ヒアリング内容は個人・法人が特定されないよう一般化して記載しています。最終更新日: 2026年7月16日
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